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2017年11月30日木曜日

キャッチャーマインド

 日本ハムを退団した武田勝が古巣の日本通運でコーチ兼任選手と復帰するという。NPBから社会人野球に身を転じた選手は2016年度は11人。セカンドキャリアとしてすっかり珍しくなくなってきた。
 NPB→社会人野球組でもっとも成功している選手の一人が細山田武史(トヨタ自動車)。早稲田の先輩、佐竹功年に「トヨタを優勝させるために来てくれ」と口説かれ2015年にトヨタ自動車に入社。2016年に都市対抗、2017年に日本選手権でトヨタを日本一に導いた。
 細山田を語る上でのキーワードがキャッチャーマインド。こんな言葉はないので僕の造語だが。ワセダ時代の優勝インタビューなどで明るく、元気なキャラクターが印象的だが、反面、繊細で緻密なマインドの持ち主でもある。トヨタの入社時にはすでに投手陣の球種などの特徴をしっかりインプットしてきていて関係者を喜ばせたという。DeNAを解雇された直後のトライアウトでは、投手と綿密な打ち合わせ。「自分より投手を立てているように見えた」と取材した人から聞いた。
 冬の東伏見球場の紅白戦。細山田はお世辞にもリーグ戦のベンチ入りを争っているとは言えない投手のボールを丁寧にうけていた。時にジェスチャーを交えながらのコーチング、「いい曲がり。このボール使えるよ」。みるみるボールの質がよくなっていった。大学ジャパンに選ばれている不動のレギュラーキャッチャーがそこまでするな、と思うと同時に根っからのキャッチャーなんだなあ、と感心した。
 キャッチャーマインドホスピタリティ。僕にはとても出来そうにないポジションだ。