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2018年6月9日土曜日

エースなんてやめなさい

 先週にわかにクローズアップされたのが、大学野球のエースの連投。優勝のかかった東都大学リーグ最終節では、東洋大の上茶谷大河(4年 京都学園)、亜細亜大の中村稔弥(4年 長崎清峰)がともに3試合連続で先発。東京六大学では早慶戦では早稲田大の小島和哉(4年 浦和学院)が2戦連続で先発した。上茶谷は19イニングで231球、中村は20イニング1/3で310球、小島は15イニングで261球を投げた。

 早慶戦の2回戦終了後、慶應の大久保秀昭監督のコメント。
「今季ワーストゲーム。昨年負けて優勝を逃した試合(対早大2回戦)と同じくらいの屈辱です。こちらのミスが出て一挙に流れが向こうに行ってしまった。“いくつミスが出たんだ”という試合。」
ここまでしかた伝えていないメディアが多いが、このコメントには続きがある。
「(優勝は決まっても負けられない早慶戦)ではありますが、“連投の美学”みたいなものは、僕はクエスチョンですね」
と小島の連投をやんわりと否定しているのだ。小島の連投を讃えるストーリーに仕立てかったメディアはこの部分をカットしているが。

 東洋大の上茶谷は7回3失点で降板した第1戦のあと杉本泰彦監督に「明日も行けるか」と言われ、「やり返すチャンスをもらったので、うれしかったです。やってやろう」と思ったらしい。早稲田の小島は「投げないと後悔する」と志願し、一度は止めた高橋広監督も連投を認めたという。

 「息子とキャッチボールもちゃんと出来ないんだよね」。M君は某大学のりリーフエースだった。肩が痛むので山なりのボールしか投げられなくなった。全盛期の片りんをジュニアに見せてあげられないと寂しがっていた。大阪の超強豪校出身のTさん。還暦過ぎても110キロ台のコントロールのいいストレートで若者たちを翻弄していた。「高校のときサボってたからさ」。投手だけで10人以上もいるチームでベンチにすら一度も入ったことがないらしい。

 若者は不確実な未来のために命すらかけられる生き物だ。仲間のため、自分のため、体にムチ打つこともいとわない。それを上手く説き伏せて、選手の未来を守ってあげるのも指導者の責務だと思うのだが。

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