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2018年12月5日水曜日

「ライバル 高校野球 切磋琢磨する名将の戦術と指導論」 谷上 史朗編著

 神奈川、大阪、西東京、青森、茨城、群馬、新潟、福岡の8つの地域のライバル校の監督の話をそれぞれのエリアに縁の深いライターが対談形式でまとめた一冊。
 慶應の上田誠は、横浜の渡辺元智の野球を追いかけることでチームのレベルを上げていった。直接的にではないもののそこにはある種の師弟関係がある。
 「野球王国」で毎年ハイレベルな戦いを繰り返す大阪桐蔭×履正社。史上初の「大阪対決」は記憶に新しい。夏に限って言えば、履正社が大阪桐蔭に8連敗というのはちょっと意外。
 戦前からのライバル関係の早稲田実と日大三高。自主性を重んじる早実からは王貞治、荒木大輔、斎藤祐樹、清宮幸太郎などのスターが出現し、チームを高みに導く。対する三高は名物の冬合宿などでエリートたちを徹底的に鍛える。
 地元の選手を育てて勝つ前橋育英と県外から積極的に選手を受け入れるグローバルなスカウティングの健大高崎。機動破壊という言葉が象徴する脚を使った健大に対抗するのは前橋育英の攻撃的守備だ。
 野球不毛の地といわれた新潟で切磋琢磨し、全国でも勝てるチームを作り上げた日本文理×新潟明訓。明訓の監督、佐藤和也はほとんどの新潟県の野球指導者の連絡先が携帯の電話帳に登録してあるのに日本文理の大井道夫の番号は知らなかったという。
 東筑×小倉は学業でも張り合う中。決して恵まれていない環境でも甲子園を目指す姿勢は他地域の公立校のお手本にもなる。
スカウティング、戦術、選手育成から進路指導まで激しくあるいは静かに火花を散らす。ライバル校の存在は、憎くもあり、頼もしくもあり、そしてありがたいものだ。

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