社会人野球の全日本選手権はトヨタ自動車が5度目の優勝。“レジェンド”佐竹功年はこの大会でもチームの優勝に貢献した。2回戦の東京ガス戦では7回から3イニングを被安打1、奪三振4と3-2で逃げ切る。夏の都市対抗で敗れたNTT東日本との準決勝では2点リードの最終回を奪三振2で締めくくった。昨シーズンまでの先発にリリーフにフル回転ではなく、今季はリリーフが主戦場。そこには“佐竹依存”からの脱却を目指すチーム方針がある。佐竹はそれだけ太い柱なのだ。
「佐竹をくれないか」。あるスカウトさんがトヨタの関係者に冗談とも本気ともつかない口調で話しているのを聞いたことがある。33歳の佐竹のドラフト指名は現実的にはあり得ない選択。遅咲き過ぎたのだ。ワセダ時代には、よく言えば真っ向う勝負、悪く言えば大ざっぱな本格派投手。それがまるでダーツを投げるかのような投球フォームが佐竹をボール1個の出し入れで勝負出来るような別人に変えた。今の投球スタイルが定着するまで10年近く。さまざまな試行錯誤があっただろう。でもプロは待ってくれない。
佐竹のような遅咲きの社会人選手は過去にもいたし、これからも出てくるだろう。NPBから社会人野球の世界に入ってくる選手は年々増えている。その逆コースは実現できないものか。期限付きで「出向」してNPBでプレーできるシステム、どこかの企業が導入してくれないかなあ。