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2019年7月28日日曜日

東京の決勝

【No.78 2019/7/27 小山台 0-4 関東一 神宮球場 第101回全国高等学校野球選手権大会 東東京大会】
【No.79 2019/7/28 國學院久我山 4-2 創価 神宮球場 第101回全国高等学校野球選手権大会 西東京大会】
 長い梅雨で中止になった日も多く、やりくりが大変だっとと思うが、東西ともに予定通りのスケジュールでの決勝。
 開幕日はカイロが欲しくなるような冷涼さだったが、決勝に合わせるかのようなこの時期らしい猛暑。
 東東京の決勝は都立初の2年連続決勝進出の小山台と関東一。
 初回、小山台は四球とエラーで一死三塁のチャンスを作るも4番・吉田がショートゴロ併殺で先制出来ず。ここまでの5試合を一人で投げぬいてきた小山台のエース、安居院。4回に関東一の2番・村岡に右中間を破る三塁打を打たれ、4番・平泉にライト前に弾き返され先制を許し、さらに追加点で0-2。疲労の色濃い安居院は8回にさらに2失点。打線は関東一の背番号10谷の制球の不安定さに付け込めず、2本のヒットで完封負け。決勝の壁は今年も破れず。甲子園への最後の壁は厚い。昨年もそうだったが、1人の投手で夏を勝ち抜くのは厳しい。もう1枚信頼できる投手を育てるべき。健大高崎のように役割を細分化させたスペシャリストの継投という方法もある。
 西東京の決勝はノーシードから勝ち上がってきた創価と早稲田実、春の東京チャンピオン東海大菅生を破った國學院久我山。
 1回表、國學院久我山は4番・宮崎のタイムリーで先制する。2回表、國學院久我山はセフティスクイズで追加点2-0。4回裏、スクイズで1点返した創価は6回裏、4番・中山のレフトへのホームランで同点に追いつく。直後の7回表、すべてショートに飛んだ当たりを創価の谷藤が右に左に軽快なステップでさばく。好プレーにスタンドがわく。流れは創価に傾いたと思われた。
 最終回、2点取られたあと踏ん張っていた創価の左腕エース、古川が崩れる。2連続四球のあと4番・宮崎のタイムリーに打たれて勝ち越される。5番・高下に四球。6番・坂口にツーボールトなったところでスタンドの大きな拍手を浴びながら交代。坂口がライト前へ運び4-2と國學院久我山がリードを広げる。
 9回裏、國學院久我山のエース高下はツーアウトからのヒットと四球。ホームランが出ればサヨナラの場面も3番・宮原をセンターフライ。センター西川のグラブに打球がおさまった瞬間、28年ぶりの甲子園出場が決まった。29歳の尾崎監督のインタビューはすがすがしかった。
 

2019年7月27日土曜日

Wの守護神対決

【No.77 2019/7/25 豊田市・トヨタ自動車 4-6  千葉市・JFE東日本 東京ドーム 第90回都市対抗野球大会】
 今年の都市対抗の決勝はともに早稲田OBのクローザーを擁するチーム同士の対戦となった。
 ミスター社会人と言われるトヨタ自動車の佐竹功年。準決勝までの4試合すべて抑えとして登板し8イニングで自責点1(防御率1.12)。JFE東日本の須田幸太は11イニング2/3で自責点2(防御率1.54)。佐竹がリードした場面で出てくるのに対し、須田は同点あるいはリードされた場面で登板し、勝利を呼び込んでいる。佐竹が早稲田の後輩でもあるキャッチャーの細山田とのコンビで老獪な投球で抑えるのに対し、須田はストレート中心で打者を抑えにかかる。
 両クローザーにどんな形でつなぐかが試合の大きなポイント。
 1回表、トヨタがこの大会好調の4番・沓掛(慶應義塾大)のタイムリーで先制。2回裏、JFE東が8番・長谷川(法政大)の2ランで2-1と逆転。4回表、トヨタが8番・細山田のホームランで同点に追いつく。
 同点になった直後の4回裏、トヨタに痛いミスが出る。ワンアウト一塁からのショートゴロ。ゲッツーのタイミングだったが、トヨタの北村(亜細亜大)がボールを落としファーストに送球出来ず。このあとJFE東が3連打などで4点とって6-2。
 6回表、トヨタが多木のタイムリーで3-6と追いかける。7回表にはまたも沓掛のタイムリーで4-6。ツーアウト二、三塁の一打同点の場面。ここでJFE東は須田を投入。前の打席タイムリーの多木をサードゴロに打ち取り須田は大きくガッツポーズ。
 2点差に追い上げたトヨタも流れを引き寄せる力をクローザーに求める。佐竹は内野安打を許すも2連続三振。
 8回表の須田。先頭の西潟(桐蔭横浜大)に痛烈なライナーを打たれるがファースト岡田(駒澤大)がダイビングキャッチ。ツーアウトとなって迎える打者は早稲田、DeNAの盟友、細山田。しゃがんでスパイクの紐を結び直す須田、バッターボックスを外す細山田。二人だけの時間をじっくり楽しんでいるようだ。カウント1-1。インコースの142キロのストレートに細山田がつまる。完全なショートゴロなのに須田は身をていして捕りにいく。細山田もこたえるように一塁をしっかり駆け抜ける。
 8回裏、佐竹‐細山田のバッテリーがツーアウト一、二塁。ファーストはけん制の必要がないのでベースから離れている。セカンドのけん制をフェークで入れておいてからのサインプレーの一塁けん制。ファーストが素早くベースに入り、佐竹の小さなモーションのけん制でタッチアウト。一塁ランナー岡田の反応を見てここぞとサインを出した細山田の冷静なジャッジ。
 流れを引き寄せる大きなプレーのあとのトヨタ最後の攻撃。須田はビッグプレー直後のトヨタの勢いも意に介さず。IFE応援団のドームにひびく須田コールも後押しする。2連続空振り三振でこたえる。2番・小河をファウル2球で0-2とあっという間に追い込み、最後は渾身のアウトコースのストレートで見逃し三振。

2019年7月20日土曜日

Kにご難の

【No.70 2019/7/20 JFE東日本(千葉市) 2-6× 明治安田生命(東京都) 東京ドーム第90回都市対抗野球大会】
 JFE東日本に北崎寛和(コーチ)、須田幸太、土屋遼大、中澤彰太、松本啓二朗(日本製鉄かずさマジックからの補強)。明治安田生命に成島広男(監督)、本田将章(助監督)、北濱峻介、道端俊輔、岸本朋也、木田大貴、大野大樹、佐藤晋甫。両チーム合わせて13名の早稲田OBが所属する同士の対戦は須田投手つぶやくところのさながら早稲田のOB戦。しかし、悪目立ちしてしまったのはライバル慶應の苦しい時代を支えた左腕エースたちだった。
JFE東日本の中林伸陽は0-0の5回に2番手として登板。慶應でリーグ通算20勝を上げた左腕エースは早稲田OBの木田に2点タイムリースリーベースを打たれ、先制を許してしまう。そのままのスコアで進んだ最終回。2-2で追いつかれた明治安田生命のマウンドにリーグ通算10勝の三宮舜。四球でピンチを広げてまさかのサヨナラ満塁ホームランを被弾…。
 もちろんW的なツボに入るシーンもあった。
 まずは試合前の北崎コーチ、本田助監督のWノック。二人とも人に教える立場になったんだよなあ。ノックする姿さまになっている。
 5回裏、センター前ヒットで出塁した中澤が初球から走ってくる。それくらい読んでいたと言うばかりに道端がセカンドベースに低く速い送球で刺す。
 9回表。0-2とビハインドの場面でJFEは須田をマウンドへ。明治安田の先頭の5番・大野がライトへ大きな飛球。この打球をフェンス際で松本がキャッチ。後ろから「けいーじろー」の絶叫の声。振り返るとDeNAのユニフォームの人が。先日の大阪ガス戦では「須田幸太」のユニフォーム、マフラータオルの人たちも見かけた。二人ともファンの人たちに愛されていたんだなあ。
 JEFには勢い、一体感がある。この大会の台風の目になるかも。すでになってるか。

2019年7月16日火曜日

雨上がりの大逆転

【No.66 2019/7/15 日野 5-4 国士館 市営立川球場 第101回全国高等学校野球選手権大会 西東京大会】
 強い雨に開いていた傘も閉じられた6回。一塁側スタンドからタイミングよく流れた「雨上がりの夜空に」を合図に日野の反撃が始まる。先頭の2番・入江がセンター前にしぶとく落とす。3番・渡辺がレフト前ヒットで続く。4番・坂本もレフト前へ。3連打で1-3。試合展開と雨でしおれていたネット裏の日野を応援する人たちも息をふきかえす。6番・廣岡のセンター前のタイムリーで1点差。さらに2連続四球を選び、押し出しで同点。国士館はここでエース山田が降板。さらにリリーフの石橋からも四球。連続押し出しで勝ち越す。1番・山崎主がライトへ鋭くはじき返し5-3とリードを広げる。
 7回に1点返され4-5と追い上げられ最終回。国士館の先頭の4番・黒澤のセンター前ヒット。じわりと緊張感が高まる。代走・小高が続く打者の初球に走ってくる。これをキャッチャー坂本が落ち着いて刺す。代打攻勢の国士館にツーアウトながら一、二塁のチャンスを作られる。6回からリリーフした関口の得意のカーブがタイミングを狂わす。バックネット前に上がるフライ。キャッチャー坂本のミットにボールがおさまると大きな歓声が球場を包んだ。
 今年こそ地元の野球好きのおっちゃんとして日野駅前からチャーターバスに乗って甲子園に行きたいものだ。

2019年7月15日月曜日

須田の熱投に後輩が

【No.64 2019/7/14 岡山市・シティライト岡山 4-3  宮崎市・宮崎梅田学園 東京ドーム】
【No.65 2019/7/14 大阪市・大阪ガス 2-3  千葉市・JFE東日本 東京ドーム】
 待ちに待った瞬間は9回にやってきた。2010年以来の都市対抗に須田幸太が戻ってきた。0-0でのクローザーの登板はJFEベンチの「勝ちにいくぞ」の意思表示。それに応えるのは当然と背番号20は圧巻の投球を披露する。先頭の3番・峰下のセンターフライのあと5連続三振。投じた21球はすべてストレート。早稲田の後輩でもあるキャッチャーの土屋 遼太のサインに首をふることもなく自信満々に投げ込む。あまりの強気ぶりに見ていてヒヤヒヤするが、キレもコントロールも素晴らしい。延長11回、ワンアウトから大きな打球は途中からライトに入っていたこれまたWの後輩、中澤 彰太が好捕。
 タイブレークとなった12回表。須田は4番・土井にレフトへ犠牲フライを打たれて1点とられる。続く5番・古川に初の被安打となるタイムリーツーベースを許す。2失点にグラブを叩きつけるような悔しい仕草をみせながらベンチに帰ってくる。「須田を負け投手しないでくれよ」。その裏、3番・鳥巣のしぶといヒットで同点においつく。ツーアウトになるがファインプレーの中澤に期待。変則左腕の秋山に食らいつくように粘る。外のストレート、縦の変化球、インコースのストレートのゆさぶりに対応。9球目をとらえた打球はライト前へ。
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/07/14/kiji/20190714s00001003445000c.html

2019年7月14日日曜日

90回目の都市対抗開幕

【N0.63 2019/7/13 山形市・きらやか銀行 0-1 門真市・パナソニック 東京ドーム】
 90回目の都市対抗。今年の開幕戦は昨年までの前年優勝チームが試合するという形をとらない。ライトスタンドまで届く赤が目立つきらやか銀行と近畿第6代表という増枠の恩恵をうけて出場のパナソニックが対戦。
 スタンドのボルテージが上がるようなシーンがなく、淡々と試合が進む。こういう試合のとき、投手戦、貧打戦と聞いてくる人もいるが、「両方だね」と答えることにしている。実際、どちらかなんて判断できないことも多いしね。はっきり言い切る人は何を根拠にしているんだろう?
 パナソニックの先発、左腕の榎本(京都学園-佛教大)が6回ツーアウトまでノーヒットノーラン。球数が100球に近くなった7回はスライダーのコントロールがつかなくなるなど調子に陰りが見える。8回から縦の変化球のいい抑えの藤井聖(興国-関西国際大)が登板し、1点を守り切った。
 六大学OBでは明治OBの中原北斗がきらやか銀行の6番センター、立教OBの田中宗一郎がパナソニックの6番DHで出場。中原は3打数ノーヒット犠打1、田中は2打数ノーヒット1四球。

2019年7月7日日曜日

W北野 渡辺美里の母校に

【No.61 2019/7/7 東京大 7-6 京都大 東大球場 2019京都大学定期戦】
【No.62 2019/7/7 千歳丘 9-0 松原 神宮球場 第101回全国高等学校野球選手権大会 西東京大会】
 今年で100周年を迎える東大と京大の定期戦。
 2回裏に岡(3年 小倉)のツーベース、大音(2年 湘南)のタイムリーで東大が先制する。直後の3回表、京大が反撃。北野高校の北野君のタイムリーで逆転。東大はその裏、4つの四球を選び3-2と逆転。
 4回表、京大の6番・岩城(3年 嵯峨野)が東大のエース、小林大(4年 横浜翠嵐)からライトオーバーにホームランをかっ飛ばし同点。その裏、東大は梅山(3年 四日市)、笠原(3年 湘南)、辻居(4年 栄光学園)の3連打などで3点とって突き放す。
 6回表、京大は4番・西(4年 西京)のタイムリーツーベース、岩城のタイムリーなどで1点差に迫る。西はオリックス・バファローズジュニア - 郡山リトルシニアという球歴で関西学生野球連盟選抜にも入った、野球的にもエリートなんだなあ。結末を見届けたいシーソーゲームとなったが、神宮へ移動。東京の高校野球の開幕戦で米子東OBの秋本則彦監督の千歳丘がミュージシャン渡辺美里の母校、松原と対戦するのだ。
 千歳丘は開幕戦の固さもあって前半は松原に合わせるような試合になって少し気をもむ。しかし、落ち着きの見え始めた3回以降得点を重ね、9-0で7回コールド勝ち。7回ツーアウトから参考記録ながらノーヒットノーランの記録のかかった先発投手の松岡君が交代。非情ともいえる采配にも思えたが、温情あふれる采配だったことを知りほっとした。
【西東京】都千歳丘開幕戦でコールド発進 あと1人で7回ノーヒットノーランも交代…には理由があった https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/07/06/kiji/20190706s00001002344000c.html
 




2019年7月5日金曜日

甲子園を目指せ! 単行本進学校野球部の奮闘の軌跡 タイムリー編集部 (著)

 
進学校というのも野球本の一つのジャンルとしてすっかり確立された感がある。
 この本でも市立金沢高校、県立松山東高校、県立仙台第二高校、県立膳所高校、県立東筑高校、県立掛川西高校の6校がご丁寧に偏差値つきで紹介されている。2017年から2018年のチームにスポットをあてその学校の「いま」を中心にしたレポート。
 市立金沢高校は石川県でなく、神奈川県横浜市の学校。名門・横浜高校のキャプテンとして荒波(元DeNA)、成瀬(オリックス)らとともに2003年センバツ準優勝した吉田斉が部長をつとめる。「『成功ありき』で考えているんです。ひとつでも失敗すると、そこから崩れていってしまう。」。失敗することになれていない、失敗してはいけないという優等生気質をずばり指摘している。
 進学校の宿命、練習時間の短さ。県立松山東高校も7限のときは1時間40分しか練習時間がとれない。そういう中で監督の目ではなく、やらないとすぐ終わってしまうという集中力、自立心が養われる。
 東北地方最高の偏差値71を誇る県立仙台第二高校は「文武一道」が校訓の伝統校。仙台一との定期戦は杜の都の早慶戦と言われる学校上げての一大イベント。負けてしまうと応援部が丸刈りなるという熱のいれよう。
 優秀な頭脳を駆使してデータ分析に強みを持つ進学校県多い。県立膳所高校は一味違う。普段は書道部などを兼部する野球未経験者が「データ班」としてチームを支える。野球の専門用語を理解することから始め、偵察で丸一日1日3試合球場にいて野球にどっぷりつかることに慣れるのに時間を要するという。
 春3回、夏6回の甲子園 過去30年の福岡公立高校で夏の甲子園に出場した唯一の高校、県立東筑高校。「石田伝説」の石田旭昇(法政大)で2017年夏、2018年春と二季連続の甲子園出場を果たしたチームを取り上げている。「2年半を野球だけに没頭させるなんてもったいない」という青野浩彦監督は「日本一短い練習で、日本一強いチームを作ること」。
 「うち進学校なんですか?」。県立掛川西高校は「野球が強いから掛西に入るために勉強した」という部員も多い。静岡高校の部長、副部長として4年で5度の甲子園に出場した大石卓哉監督。「投手が投げてから捕手が返球する二塁到達2秒以内 守備からベンチに戻るのは10秒以内 ベンチから守備につくのは35秒以内(投手、捕手が攻撃に絡んだ場合は45秒以内)」といった甲子園タイムを意識して練習する。
 もうすぐ地方大会は真っ盛り。進学校の部員たちには2割増しくらいでエールを送りたくなる。