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2018年10月6日土曜日

神宮讃歌―東京六大学野球物語 松尾 俊治 (著)

 
読んでいると松尾さんと神宮のネット裏でお話ししている気分になる。時系列で書かれていれば、お勉強っぽくもなるが、「そう言えばね」って感じで五月雨式にエピソードが語られる。
 「第3章 神宮記者60年 語り続けたいこと」はこんな感じ。明治OBの斉藤茂樹について監督、選手時代から脇村春雄元高野連会長の東大野球部時代、早稲田のスラッガー岡田彰布、戦後まもない1945年のリーグの様子、怪物・江川卓、東大2位、甲子園優勝投手の明治の松本吉啓、慶應の“紳士”藤田元司.....。それぞれのエピソードの長さがちょうどよく、テンポよくつながれていく。
 ほぼすべてのシーンが自分の網膜にダイレクトに焼き付けたものなので、それぞれの話に血が通っている。あの“最後の早慶戦”も慶應の現役部員として経験しているのだ。
 「第4章 武勇伝ものがたり」。“親分”大沢啓二、“燃える男”星野仙一、“ライオン丸”山本英一郎...少しやんちゃなエピソードも愛情こめて語られる。
 後のスーパースターや名将と呼ばれる人たちも松尾さんにとっては六大学のかわいい後輩なのだ。
 若き後輩たちが歴史を知り、学生球界のリーダーとしての誇りと自覚を持てというメッセージ。

 2001年の「神宮へ行こう」の続編としてこの本が出版されたのは2011年。松尾さんは2016年に逝去され、もう続編を読めないのが悲しい。


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