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2019年3月30日土曜日

小宮山ワセダは”信頼"

【No.11 2019/3/29 早稲田大学 13-0 筑波大学 安部球場 オープン戦】
 「任せたぞ」「自分で何とかしろ」「ここで抑えるのが、ここで打つのが役割だぞ」
随所に小宮山監督の選手へのメッセージを感じる試合だった。
 まず安易に送りバントを使わない。1回はヒットで2回は四球でのノーアウト一塁の場面。去年までなら判で押したような送りバントのケース。バッターはバントする素振りさえ見せない。ワンアウトととられても当然ヒッティング。ノーアウト一塁で送りバントしたケースと打たせたケースの得点率は変わらないというのはセイバーメトリクスで証明されている。投手優位の大学野球でもその数値はあまり変わらないのではないか。送りバントを否定する気はさらさらないが、チームの勢いにブレーキをかけるようなバントは必要ない。ときに選手のバッティングを過少評価しているように感じることさえある。そういう状態で得点圏にランナーを進めても1本出るわけない。
 6回、1点先制されたあとさらに続くノーアウト一、二塁。バッターの中川卓也(1年 大阪桐蔭)はバントの構えを見せるが、これは守備の陣形を変えることを意図としたもの。やっぱり打たせてライトへの犠牲フライ。このあと代打の今井脩斗(2年 早大本庄)のタイムリーツーベースで勢いがつき、3番・福岡高輝(4年 川越東)、4番・加藤雅樹(4年 早稲田実)の連続ホームランでとどめを刺す。9得点。勢い、流れは大切だ。
 先発の一角を任される西垣 雅矢(2年 報徳学園)は6回をノーヒットに抑える好投。7回からはパターンになりつつある継投だ。左打者が3人続くところは左腕の上條哲聖(4年 早稲田実)。先頭の4番バッターにヒットを打たれるが変化球巧みに使った投球で2つのアウトをとる。右バッターが出てきたところで右サイドハンドの藤井寛之(4年 東筑)。代っていきなりヒットを打たれるが次のバッターを見逃し三振。藤井が8回も中継ぎの仕事を果たすと9回には抑えの柴田 迅(3年 早大学院)。140キロ台後半のストレートに変化球で緩急をつけて2奪三振を奪ってみせた。
 マスクをかぶったのは早稲田の正捕手を表す背番号6を背負う小藤翼(3年 日大三)。落ち着いたリードと2安打。去年までの実績を考えれば6番をつけるのは早いと思ったが、納得するプレーぶりだった。同じように実力を発揮できてこなかった早川隆久(3年 木更津総合)も左のエースナンバー18を背負うことになりそう。背番号にも監督の信頼を感じる。
この試合ではいいところばかりが目立ったが、リーグ戦で苦しい局面になったときはどうだろうか? きっと選手への”信頼”で乗り切ってくれるはずだ。

2019年3月28日木曜日

23年ぶりに心ふるえる

【No.009 2019/3/24 明豊 13-5 横浜 甲子園球場 第91回選抜高校野球大会】
【No.010 2019/3/24 米子東 1-4 札幌大谷 甲子園球場 第91回選抜高校野球大会】

錦の海の ひんがしに 松翠なる わが校舎 
世の灯の 使命享け群 咲き匂ふ この団欒
自由をかざす 若人の 清らの生命 讃ふなり ああ 青史に映ゆるわが母校


 バックネット裏の席なので遠慮するはずが、イントロを聞くともういけない。やっぱり歌ってしまった。日本有数の難しい歌詞とリズムだと思う母校の校歌。まぶしかった太陽も雲と銀傘で遮られていたがサングラスを外せない。

 初回、1番の北本にレフトにホームラン打たれる。どうなることかと心配したが、キャプテン福島康のファインプレーで1点でしのぐ。
 3回表、2本の安打とスチールで作った二、三塁のチャンス。ショートゴロで同点においつく。

黒鉄の をのこの腕
振ふべき 時は来たりぬ
虹に似る 吾らの意気を
示すべき 時は来たりぬ


応援曲「黒鉄の力」。アルプスは歓喜。

 その裏、フォオボールで招いたピンチから3本の長単打で1-4と突き放される。明治神宮大会王者の猛攻。
 6回には連続四球でチャンスをもらうが、5番福島康が送りバントが決められない。しからばと6番土岐に打たすが空振り三振。7番長尾は初球デッドボールで満塁。いけるぞ、いける! 8番本多が初球を打ってファーストファウルフライ。うーーん。。ドンマイ、ドンマイ、切り替えて。
 エース森下は4回以降も毎回得点圏にランナーを背負うも粘りの投球で追加点を許さない。こたえたい打線は7回以降は四球のランナーを出したのみ。最後まで太田のサイドハンド特有の球筋に対応出来ず。
 球場を出るとたくさんの地元からの大応援団の人たちとすれ違った。敗戦の悔しさよりすがすがしさを感じた。帰りのバスでもわが町の誇りのことが語られたことであろう。

2019年3月23日土曜日

セントポールの二遊間

【No.008 2019/3/23 立教大 2-3 日本大 立教新座グランド オープン戦】
 廣岡達郎より吉田義男が、デレク・ジーターよりオジー・スミスが好きだ。華麗なショートより軽快なショートがいい。立教にはそんな僕好みのショートストップが2人いる。笠井 皓介(4年 桐蔭学園)宮 慎太朗 (3年 市立船橋)だ。宮がセカンドに回り、この試合は2人ともスタメン。昨年秋のリーグで.293を打ったが笠井は8番、宮は2番。ともにバッティングに非力なところがあるがそれすらチャームポイントに思えてしまう。二人の守備力がそれだけ高いってことだ。6回にクルッ、スパッと4-6-3の見事なゲッツーを決めてみせた。宮は8回にレフトオーバーのホームラン。大阪桐蔭から強打のセカンドの入ってきたし、うかうかしてられないよなあ。
 

2019年3月22日金曜日

おかわり爆走 三塁打!!

【No.007 2019/3/21 亜細亜大 11-5 東京大 亜細亜大グランド オープン戦】
  100キロ近い巨漢がセカンドベースを蹴り三塁へ向かう。重い足取りにハラハラ。スライディングしてセーフ、レフトフェンス直撃当たりは三塁打に。ネット裏に集まった東大を応援する人たちからこの試合一番の拍手。”東大のおかわり君"青山海(4年 広島学院)。1点を返す爆走の一打が呼び水となり、投げる方で力を出せない先発投手の同点タイムリー。
 試合が盛り上がったのはここまで。エース候補の小林大雅(4年 横浜翠嵐)は自分のタイムリーで追いついた直後に5本のヒットと3つの四死球で7失点。立ち上がりから高めに外れるボールが目立った。何とか2点で持ちこたえていたがこのイニングで崩壊。東大の反撃が相手チームの闘志に火をつけ倍返しにあうという展開は今年も何回も繰り返されることになるんだろうなあ。
 電車の本数が少ない場所なので、16時2分のホリデー快速で帰ると決めていた。12時54分に始まった試合は2時間半たっても終わりそうにない。8回裏の途中でグランドをあとにした。武蔵引田の駅前に早くも満開の桜。
 

2019年3月21日木曜日

20年目の松坂世代 竹書房 上重 聡 (著)

「水野世代」なんて言ってもイッツグリークツーミーでも「松坂世代」なら分かる人が多いだろう。
  1980年4月2日から1981年4月1日までに生まれた野球の子たちには松坂大輔というシンボルがいた。「怪物」と称される野球の実力は同年代の中でも図抜けていた。すれ違うことはおろか視界に入ることもなかったたくさんの野球の子たちが多かった中、ライバルやチームメイトに慣れたものはほんの一握り。そんなレアなものたちを自身もPL学園のエースとして松坂と戦った上重聡がインタビューしていく。
 同じプロ野球のステージに立ったものでも松坂に対しての距離感はさまざま。和田毅は松坂にあこがれ、大学でブレークしてこの世代として認知されたことを喜ぶ。高3夏に松坂と初めて対戦した杉内俊哉はライバルをリスペクト一度だけでも勝ちたかったと言う。上重や館山昌平は苦しいときは松坂の素振りや道具をマネて苦境に立ち向かった。新垣渚は衝撃的な出来事から松坂のひとことで救ってもらった。高卒ドラフト1位という共通点のある藤川球児は、高校で直接対決がなかった分、ずけずけと物をいえる。村田修一、小谷野栄一は松坂を見て投手をあきらめ、打者として対決する道を選んだ。東出輝裕、平石洋介は指導者として今でも「打倒 松阪」を目指す。
 松坂大輔はこの先も先頭を走り続ける宿命を背負っている。自分のために、同世代のために。30年後の松坂世代、どうなっているだろう。

2019年3月18日月曜日

コスギは今日も寒かった

【No.004 2019/3/17 千歳丘 2-12 富士森 帝京高校グランド 平成31年 春季東京都高等学校野球大会 一次予選】
【No.005 2019/3/17 法政大 4-2 福井工業大学 法政大グランド オープン戦】
【No.006 2019/3/17 法政大 10-6 駒澤大 法政大グランド オープン戦 】
 十条で高校野球を観てから埼京線で新宿に出て、湘南新宿ライナーで武蔵小杉へ。この電車が出来てからダイナミックない移動も可能になった。
 この春3回目の法政のオープン戦。1回目は北風に、2回目は南風に可愛がってもらった。今回は暖かい日差しの中で春だなぁ、とウトウトしたのは試合の2試合目の途中まで。安定した先発投手が変わると風雲急を告げ、大乱戦に突入だ。そのタイミングで今日もまた風がビュービュー。
両校のリリーフ陣はヒューヒュー。ストライクが取れなかったり、取りに行くと痛打されたり。風のいたずら安打も出たり。いつ終わるかわからない試合展開と強風で身も心も冷え切る。「誰でもいいからアウトの数を増やしてくれ」「なんだったらスコアボードの係でもいいぞ」のやけっぱち。
 観に来た3試合とも法政の先発投手は高田孝一(平塚学園)。ストレートの質やコントロールがどんどん上がっている。この試合も初回こそホームランで2点失うが、その後は立ち直り6回まで投げ切った。調整は順調。春も先発の軸になることは間違いない。
 16安打。駒澤の投手たちの出来の悪さを差し引いてももよく打った。3番に入った毛利元哉(愛工大名電)は2本の三塁打で激走を見せるなど3安打。

2019年3月14日木曜日

神宮再デビュー

【No.003 2019/3/13 SUBARU 6-3 Honda 神宮球場 東京スポニチ大会】
 ”松の緑”の後輩君の社会人初の公式戦、東京スポニチ大会。昨年11月以来の神宮だ。
 昨日の横浜スタジアムでのデビュー戦は初打席で空振り三振するなど3打数ノーヒット。慣れ親しんだ球場で社会人初安打を期待した。
 6番指名打者でのスタメン。2回表二死トランナーなし。大学3年の春にリーグ戦デビューしたときと同じ13番を背負い、ウェーティングサークルから小走りでバッターボックスに向かう。Hondaの先発投手は小野大夏(健大高崎)から初球デッドボール。何事もなかったのように一塁へ向かう。このシーン、何回か観たなあ。
 第2打席は4回表、一死ランナー一塁。2点差を追う展開でチャンスを広げたい場面だったが、センターフライ。第3打席は7回表、一死ランナー二塁。セカンドランナーに代走を送り、ベンチからタイムリーを期待される場面。ここも赤嶺祥吾(拓殖大)の変化球にタイミングが合わずキャッチャーファウルフライ。9回の一死二塁の場面では代打で送られてしまった。
 チームはこのあとのタイブレークを制し、決勝トーナメントに向け前進した。決勝まで進めば神宮であと3試合できる。社会人1本目は神宮で打とうぜ。


2019年3月10日日曜日

春一番 快勝のはずが

【NO.002 2019/3/9(日) 法政大 10-7 上武大 法政大グランド オープン戦】
 プレーボールを待っていたかのように強い南風が吹き始めた。先週はバックスクリーン方向からの強い北風だったが、今週は後ろから風を浴びる。
 この1週間、法政は社会人の強豪JR東日本、JX-ENEOSに勝つなど3連勝。スタメンの野手のほとんどはお休み。しかし、後藤克基(2年 滋賀学園)のランニングホームラン、代打・羽根龍二(3年 日大鶴ヶ丘)のレフトオーバーのホームランなどで5回までに8-0の大量リード。先週の東京ガス戦で予定イニングを投げ切れなかった高田孝一(3年 平塚学園)もこの日は安定感のある投球で5イニングを被安打3の無失点。先発候補の好投、打線の爆発の快勝ムードに水を差したのが2番手で登板した平元銀次郎(2年 広陵)。代わった直後の6回にいきなりの連打と犠牲フライで1失点、7回にも2本のヒットで1失点。甘く入ったストレート、スライダーをきっちり打たれる。最終回には4連打で4点をとられるとベンチも動かざるをえない。慌ててマウンドに上がった髙氏祥太(4年 立命館慶祥)も制球が定まらず、柏野智也(3年 広陵)が上武打線を"鎮火"し、10-7で逃げ切った。
 暖かいはずの南風が冷たかった。東京の春一番だったらしい。

2019年3月2日土曜日

完封、寒風で2019シーズンスタート

【No.001 2019/3/2(土) 法政大 0-8  東京ガス オープン戦】
 法政が東ガスのエースの前にいいところなく完封負け。
 東京ガスの先発は臼井浩(いさむ)。ストレートは140キロ前後と控えめだが、緩急をつけ丁寧にボールを低めに集める投球でアウトを重ねていく。最初の公式戦である東京スポニチ(3/11~)直前で仕上がった状態のエースを法政はつかまえられない。8回までヒット3本に抑え込まれる。最終回も石田光宏に2つの三振を奪われ、最後までホームを踏むことが出来なかった。
 公式戦直前の社会人チームは仕上げの段階、大学チームは鍛錬期から実戦にシフトしたばかり。力以上にコンディションの差が出るのは当然で勝敗はたいした問題ではない。この時期に社会人のエース級と対戦出来て、課題が明確になったことはむしろラッキーだ。
 この日のスタメンには、1番・宇草孔基、2番・相馬優人、3番・舩曳海(わたる)と大学屈指のスピードランナーが並んだ。打線に中山、船山らがいた去年のような迫力はないだけに足攻はポイントになる。この3人が打線のキーマンになるかもしれない。
 昨年はリーグ戦の登板のなかった内沢航大が最終回に登板。195センチからの角度のあるボールに高めのボール球を振らせるシーンも。3つのアウトはすべて三振。
 晴れていたが、強い北風。観覧席が2階にある法政グランドでは地上にいる以上に風を強くうける。寒いと何度言ったやら聞いたやら。寒風負けした体を温めるものを求めて武蔵小杉の駅に急いだ。