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2017年3月26日日曜日

宮台9K完封

【No.006  2017/3/25  明治大 1-2 セガサミー (神宮球場 )2017社会人対抗戦 】
【No.007  2017/3/25  東京大 2-0 明治安田生命 (神宮球場 )2017社会人対抗戦】
東京六大学と社会人の対抗戦。
春のリーグ直前、神宮球場になれるという意味もあってこの日の第1試合の明治大のように小刻みな継投をする大学が多い。東大は本番必勝モード。エースの宮台康平(4年 湘南)が先発し、完封してしまった。ストレート主体で社会人のチームをねじ伏せるという圧倒的なピッチング。130後半から140前半のストレートはキレがよく、しっかりコントロールされていた。ツーシーム、カーブ、スライダーなどは、まあ一応投げとくかという感じで組み立ての中心はストレート。右バッターは一塁方向へ、左バッターは三塁方向へと差し込まれる打球が多かった。
 2回、明治安田生命の4番・ 大野 大樹 (早稲田大)に137km/hの外のストレートをセンター前に弾き返されると、ギアチェンジ。ここから三者連続の空振りの三振。7番・宮川翔太(国士舘大)が空振りした外のストレートはこの日の最速の144km/h。
 3回、油断したか投手に右中間のツーベースを打たれ、四球で一、二塁のピンチを迎えるが2番・新城拓(中央大)を140km/hのストレートで空振り三振。3番・道端俊輔(早稲田大)はスライダーを打たせてセカンドゴロ。
 7回、ヒットとパスボールで一死二塁。代打の泉澤 涼太(中央大)はストレートに差し込まれてファーストファウルフライ。続く代打の木田大貴(早稲田大)はツーシームでショートゴロ。
 キャプテン山田大成(4年 桐朋)のライトへのホームランで先制した直後の8回表。四球と盗塁で二塁にランナーを背負うが、代打の森川大樹(法政大)を139km/hのストレートで空振り三振、続く代打の小川拓真(中央大)を130km/hのフォーク(?)で空振り三振。
 一塁ベンチ上の東大ファンの方々から「宮台、頼んだぞお」と温かい言葉と拍手で送り出された最終回。四球で出したランナーに二塁まで進まれる。140台前半のストレートはキレも球威も落ちることなく、ピッチャーゴロとセンターフライでツーアウト。最後のバッター泉澤。ギアが上がって、ストレートも142、143とスピードアップ。ファウルで粘られ、最後は130キロ台の変化球でこの試合9個目の三振を空振りで奪って、決着をつけた。投球数は140。肩のスタミナの問題ないようだ。

バッター大野大樹-ライトファウルフライ



 
 

元監督の優しきまなざし

【No.005  2017/3/20  慶應義塾大 2-7 日本製紙石巻 (慶應下田G )オープン戦】
「成長している」「バッターを見下ろして投げられるようになった」「フォークが素晴らしい」「いいリードだ」。
プレーボール直後に僕の隣に座った元監督。辛口評論家氏(?)の舌鋒を巧みに交わしながら口から出るのは選手が聞いたら喜びそうな言葉ばかり。
「フォークが素晴らしい」菊地恭志郎(3年 慶應志木)はホームランを含む10本のヒットを打たれ5失点も社会人のチームから6個の三振を奪った。
フォークを初球から使うなど的を絞らせない配球のキャッチャー郡司裕也(2年 仙台育英)。打たれる場面も多かったが、落ち着いて粘り強くリードしていた。
日本製紙石巻の9回のマウンドは塾OBのルーキー小原大樹。後輩に3本のヒットを打たれるが最後は気持ちのこもったストレートで三振を奪い得点は許さず。結果だけ見るとあっぷあっぷと言ってもいいのだが、「バッターを見下ろして投げられるようになった」のだ。
 勝負の一線から退いた元監督の優しいまなざしに触れ、温かい気持ちでグランドをあとにした。

2017年3月23日木曜日

100m歩いてハシゴ観戦

【No.003 2017/3/19  明大明治 5-2 篠崎 (内海島岡BP第二球場 )春季東京都高等学校野球大会一次予選第24ブロック代表決定戦】
「明治大学 内海・島岡ボールパーク」の第二球場から第一球場へ約100m移動してのハシゴ観戦。
 まずは第二球場で春季東京都高等学校野球大会一次予選第24ブロック代表決定戦。いわゆるブロック大会決勝。東京都本大会への出場をかけた試合である。
3回に8番バッターのホームランで先制した明大明治が7回には篠崎のエラーもあって4点追加し、5-0。西東京を代表する投手に成長した柳澤 憲人が9回ツーアウトから2ランを打たれて完封を逃すも、明大明治が5-2で勝って本大会へ進出。寺土監督の就任以来、甲子園出場経験のある成立学園、都立小山台、創価などを倒し、年々力をつけている。この春も強豪校に一泡吹かせて欲しいものだ。一つ勝ったら国士舘だ。
【No.004  2017/3/19  明治大 1-4 中央大 (内海島岡BP第一球場 )オープン戦】
 ゆるやかスロープを下って、階段をとんとん登ると第一球場のスタンドだ。100mくらいの移動。試合開始までに少し時間があるので明治LOVEな方々から今年の明治についての情報収集。どこにもこういう熱心なファンの方がいるので助かる。こういう方たちの話を聞くのも学校、チームのグランドに行く楽しみの一つ。
 明治のノックで最初に目に飛び込んできたのがショートの背番号6。手元のメンバー表を見ると、竹村春樹(4年 浦和学院)。去年までは背番号4でセカンドを守ることが多かったが、本来のショートに戻ってとても動きが生き生きしている。
 「おっ、イソハタ」。中学時代に陸上短距離でサニブラウン・ハキームに勝ったこともある超俊足の五十幡亮汰が中央大の2番センターでスタメンに名を連ねているではないか。1、2打席は三振で走る場面はなかったが、3打席のスクイズ。一塁到達タイムは3'74。少し流していたが全力で走ったらどんなタイムを叩き出すんだろう。
 試合は明治の2番手の齊藤大将 (4年 桐蔭学園)が1イニングで4本の長短打を打たれ、2四球で4失点。1-4で明治が敗れた。大学ジャパンにも選ばれ、ドラフト候補にもあげられる齊藤だがこの日はストレートのキレがまったくなく、中央の各打者に気持ちよく打たれていた。交代後もブルペンでコーチつきっきりで投げ込み。



2017年3月20日月曜日

スローガンは戮力同心(りくしょくどうしん)

【No.002 2017/3/11 2017/3/18 立教大 1-1 青山学院大 (立教大学G )オープン戦】
グランドの左中間辺りにその年のスローガンが掲げられる。今年は戮力同心!? 意味がよく分からないのでググってみた。「戮力」は力を合わせる、「同心」は心を合わせることで心を合わせて協力すること。ふーん、一致団結でいいじゃん((笑)。
澤田圭佑(オリックス・バファローズ)、田村伊知郎(埼玉西武ライオンズ )の投の柱、外野のトリオらの主力選手がごっそり抜けた立教。旧チームからのレギュラーの熊谷敬宥(4年 仙台育英)、笠松悠哉(4年 大阪桐蔭)もベンチスタートでスタメンにはリーグ戦でプレーを観たことがないフレッシュなメンバーが並んだ。その選手の“属性”を把握していないのでちょっとワクワクする。
先発はルーキー、比屋根雅也(興南)。高校時代トレードマークであったトルネードはあまり体をひねらない型になっていて、ノーワインドアップもセットに。コントロールを考えてのことなのだろうが、そのコントロールに苦しみ、4イニングで4つの四球。一塁側高めに抜けるボールが目立った。危なっかしい投球の中で光ったのが右バッターの膝元に決まるクロスファイヤのストレート。このボールには青学の3番・遠藤康平(4年 常葉学園菊川)も反応出来ず見逃し三振。
比屋根、中川の動画はこちら
 
もう一人のスタメンルーキーが中川颯(桐光学園)。長身のアンダースローの投球も魅力的だったが大学では野手で行くのだろう。一塁手登録で6番DH。青学の左腕、及川 豪 (4年 盛岡大附)の外のスライダーに2打席連続の空振り三振。3打席目に立つチャンスは与えられなかった。
立教の2番手の宮崎晃亮(2年 相模原)は強豪ひしめく神奈川で高3の春に準優勝した相模原のエース。相模原が進学校ということもあって、東大志望とマスコミがアドバルーンを上げていたものだが....。140キロ前後のストレートとスライダーをコーナーに投げ分ける安定感のある投球で3イニングを被安打1で無失点。3番手は浪江町出身の手塚周(2年 福島)。回転量の多いストレートは140キロ前半のスピードガンの表示以上の速さ、勢いを感じる。2イニングをぴしゃりとパーフェクトに抑えた。この二人はリーグ戦でもベンチに入るだろうなあ。
試合は9回に立教が笠松のタイムリーで追いつき1-1の引き分け。



2017年3月15日水曜日

『野球×統計は最強のバッテリーである - セイバーメトリクスとトラッキングの世界』データスタジアム株式会社 (著) (中公新書ラクレ)

 前半はセイバーメトリクスと何か、OBP、WARなどのセイバーメトリクスの指標の解説。この部分はこの前読んだ『勝てる野球の統計学――セイバーメトリクス』 鳥越規央(著) 岩波科学ライブラリー のおさらいのような感覚でさらりと読んだ。面白かったのはトラッキングシステムの世界を対談という形をとりながら紹介してくれる後半。対談メンバーはデータスタジアムのアナリスト金沢慧さん、人間の身体運動に関する科学的研究であるバイオメカニクスが専門の神事努・国学院大学教授、野球ライターのキビタキビオさん。
 「ストレートはすべてシュートする!?」。
純粋な真っ直ぐ、言わゆるフォーシームのストレートが曲がる、変化することは知っているが、トラッキングデータで見せられると考えていた以上にボールが変化していて驚かされる。神事教授が集めたデータによれば、ストレートが変化しない投手は500人中たったの3人! きれいなストレートを投げる代表のような藤川球児投手のフォーシームでさえ右斜め上にシュートしているのだ。藤川投手よりも腕を下げて投げるタイプの岩隈久志投手になると右方向にかなりシュートしていて上方向への変化が少ない。どちらかと言えばサイドスローの投手に近い。
 この変化の度合い、変化量が打たれやすさ、打たれにくさに関係する。上への変化量が多いタイプは空振りやフライが多くなるいわゆる「キレのいいストレート」。同じようなスピードでもこの変化量が少ないタイプは思ったよりもボールが来ないのでゴロが多くなる。ニューヨークヤンキースの抑えとして活躍したマリアーノ・リベラ。リベラの代名詞とも言えたカットボールは上への変化量がストレートよりも大きい。横に滑りながらホップするんだから打てないはずだ。
 今は「キレがある、伸びがあるタイプ」「ボールが来ないタイプ」と言った感覚的な表現を使われるが、近い将来にはボールの変化量を基準にした言い方が使われるようになるかも知れない。「縦変化の大きいホップ型」とか「縦変化が少なくボールの回転数の少ない真っ垂れ型」なんて分類法になっているかも。
 投球に関するデータはPITCHf/xというシステムで集めるが、FIELDf/xというシステムを使えばもっと広い範囲のデータを集められる。「遊撃手の○○選手は打球が放たれてからxx秒でスタートを切り、時速△△キロまで加速。守っていたポジションから□□メートルの位置でゴロを捕球し、捕ってから☆☆秒でボールをリリースし、時速▽▽キロで送球された球が一塁手のミットに収まった。打球が放たれてから一塁手のミットに収まるまで◎◎秒」といった表現も可能なのだ。これを実況でやるとなるとアナウンサーは大変だ(笑)。
 スポーツはアート、芸術的な側面もある。美術館で絵を見て、「この絵は●●と○○をブレンドした絵具を使い、この曲線は□□度のカーブで描かれ....」なんて解説されると興ざめになってしまうだろう。
 これまで未知であった数値が提示されることにはわくわくするが、数値が出しゃばりすぎて、選手のプレーが置き去りにならないようにしてほしいものだ。

2017年3月11日土曜日

田嶋もまだ蕾なんだろうなあ

【No.001 2017/3/11 JR東日本 0-6 東芝 神宮 第72回JABA東京スポニチ大会】
アマチュア大会最初の公式戦、JABA東京スポニチ大会。ここ数年は平日開催だったりして来られなかったが、今年はありがたいことに土曜日開幕。しかも神宮球場の開幕試合は昨年の都市対抗覇者のトヨタ自動車と社会人トップレベルの戦力を誇るJR東日本の対戦。これは行くしかないでしょと試合の1時間前に神宮へ。ネット裏では「今年もよろしくお願いします」とのお仲間の方々と正月みたいなあいさつを交わす。一冬越して、また皆さんと元気で会えたことをとてもうれしく思う。
ドラフトの目玉の一人であるJR東日本の田嶋大樹が登板するとあって、ネット裏にはほぼ全球団がそろっているのではないかというスカウト銀座。
田嶋は初回、一死から四球を出し、3番・北村祥治(亜細亜大)、4番・樺澤健(東京農大)に連打されあっさり失点する。何となくフォームがしっくりして来ない感じで球速もコントロールももう一つ。
2回以降、クロスファイヤーなど田嶋らしさの片りんは見えてくるが5回に樺澤にレフトフェンス直撃のタイムリーツーベースを打たれるなど3本の長短打で3失点。6安打4失点3で5回で降板。奪三振も3。ストレートの最速は148km/hでカーブ、スライダーなども含めて球の品質が不ぞろい。3/25に開花が予想されている東京の桜みたいに田嶋の状態も“蕾”なのかもしれないなあ。シーズンが進んでいくにつれ、“大樹”にどんな見事な花を咲かせるだろうか。
神宮のネット裏の日陰の部分は凍えるような寒さ。明日、大切な予定もあるので、「神宮カレー」を食べて帰路についた。





2017年3月9日木曜日

『勝てる野球の統計学――セイバーメトリクス』 鳥越規央(著) 岩波科学ライブラリー

日本におけるセイバーメトリクスの第1人者、鳥越規央さんとデータスタジアムのアナリストによる入門書。
 野球における通説にセイバーメトリクスの手法で切り込んでいく。
「無死満塁は得点しにくい」ということはよく言われるし、僕自身も「意外と点が入らないだよなあ」なんて球場でつぶやいたりもする。しかし、実際は、「あるアウトカウント、塁状況から攻撃した場合にイニング終了までに入る得点」得点期待値は2.2(2004~2013NPB対象)と24種類の状況の中で最高の値なのだ。逆に意外と点が入っているのだ。2番目は無死二、三塁の1.974、3番目は1死満塁の1.541。
 この得点期待値、1死二塁では0.687、無死一塁では無死一塁では0.821。無死出た走者をバントで送るのは数字的にはむしろ得点が入りにくい状況を作ってしまっていることになるわけだ。
 得点期待値を使った打順の考察も面白い。1番打者は0.518、2番打者は0.548、3番打者は0.523。 「1番から始まる好打順」というのも通説だが、データ的には「2番から始まる好打順」なのだ。広島カープの黄金期に衣笠 祥雄が2番を打ったり、アレックス・ロドリゲスもマリナーズ時代は2番を打つこともあったしメジャーではつなぎのイメージは薄いのだ。2000年夏の強打で甲子園を席巻した智弁学園和歌山の堤野君も強打が印象的な2番バッターだったなあ。
 「打率」「本塁打」「打点」は必ずしも打者の「得点能力」を表したものではない?
セイバーメトリクスでは「打率」よりも得点との相関が強い出塁率、長打率を重視する。この出塁率と長打率を合計したものがOPS。これにさらに「走塁能力」「ランナーを進塁させる能力」を加味したものが、RC(Runs Created)、XR(Extrapolated Runs)。この当たりになると数式が複雑過ぎて僕のおつむではついていけない。三冠王となった王貞治さんの73年、74年はRC27が12.63、14.52と歴代3位と1位なのに対し、1984年三冠王のブーマーは9.13、1965年三冠王の野村克也さんは8.53と意外に低い数字。四球の少なさや併殺打の多さがこういう数値になると推測されている。同じ三冠王でも打つ以外の部分を数字に反映するとこんなにも違うのだ。
 「防御率」は失点回避能力を示す指標で投手を評価するものだが、自責点には味方の守備力、ポテンヒットのような運によるものもある。セイバーメトリクスではより精度の高い評価をするために日本でもすっかりおなじみになったクオリティースタート。「先発で6回以上投げ、自責点3点以内に抑える」。全先発試合におけるこの比率がQS率。2013年に24勝0敗の驚異的な記録を残した楽天の田中将大は100%。27試合の先発登板すべてでがQS。WHIPは「1イニングあたりに許す出塁数」。FIPは先発もリリーフも含めた能力を評価する指標で「奪三振」「与四球」「被本塁打」から計算する。「被本塁打」には球場の広さも絡むので、外野フライと「被本塁打」を絡めて計算するのがxFIP。ここまで来ると計算式も発想も難しすぎて何が言いたいのか分からなくなってくる。球場の広さという話が出たが、これにもPFという本塁打が出やすいかどうかを示す指標がある。NPBが使用する主な球場でもっとも本塁打が出やすいのは2013年時点では神宮球場(1.631)、もっとも出にくいのはナゴヤドーム(0.529)。
 背負ったランナーを生還させない力を示すのがIR。2013年の巨人の山口は0。登板時に背負ったランナーを一人もホームに返さなかったのだ。広島カープで中継で活躍した清川栄治はたまたまこの数字を雑誌で知り、年俸交渉に使ったのだとか。セイバーメトリクスなんてあまり知られてなかった時期だから球団の担当も面食らっただろうなあ。
 守備の上手さ、貢献度を「守備率」では語れないのは多くの人が認識していることだと思う。例えが古くなってしまうが、阪神の遠井吾郎一塁手が巨人の王貞治一塁手を守備率で上回っていても(実際にそういうシーズンがあったらしい)、遠井さんの方が王さんより守備がうまいとは思わないだろう。打球を処理したことよりも、打球を処理できなかった守備範囲の狭さを意識するからだろう。「守備範囲」+「失策しない能力」+「併殺奪取能力」+「肩力」で計算されるのがUZR。UZRの数字では2013年シーズン19の失策で守備率.936の広島の堂林翔太が名手と言われる宮本慎也(失策数3、守備率.977)よりも勝っているのだ。宮本が-0.3なのに対し、堂林は3.8。この差は宮本の「守備範囲」の狭さによるもの。「ミスをしない能力」だけでなく「より広い範囲をカバーする能力」を反映するのいいことだと思うが、エラーが周りに与える心理的ダメージは数値化出来ないからなあ。UZRは算出が複雑なので、と著者が一般ファンに紹介している守備の指標がRF。これは(刺殺+補殺)÷守備イニング×9。これは1試合におけるアウト寄与率を表した数字。2012年シーズンでは堂林が2.62、宮本が2.63と僅差。阪神の新井貴浩が2.00と言われると説得力があるような気がする。
 シーズンを通して最も活躍した選手に贈られるMVP。記者投票によるポイントによって選出される。ベテラン記者たちの眼力に委ねれている部分が大きい。セイバーメトリクス的に最も活躍した、もっともチームに貢献した選手を判断する指標がWAR。「控えレベルの選手に比べて、1年間で何勝分貢献したのか」を意味するこの数値は投手と野手の貢献度を同じ土俵で比べることが出来る。2013年シーズン、ヤクルトのバレンティンは8.3。この年、60本塁打のNPB記録をしたバレンティンはその打撃で守備面のマイナスを大きくカバーし8勝ひとりで稼いだのだ。ヤクルトは優勝していないが、当然のようにセ・リーグのMVPに選出されている。パ・リーグのMVPは24勝0敗の楽天の田中将大。当然、WARの指標でもトップか思いきや7.1で2位。田中を抑えてトップだったのが、WAR7.5の浅村栄斗。どれだけ得点を増やしたかを測る指標であるwRAAがリーグトップで全試合に出場した浅村がMVPに満票で選出された田中よりもWARの数字上はチームに貢献していることになる。こういった現象を見るとMVPは主観による投票が現在のところベターな選出方法だと思う。
 セイバーメトリクスはまだまだ発展途上。これからも研究がすすみ、いろいろな指標が出てくるだろう。これまでの指標は必ずしも専門家が考え出したものではなく、野球ファンによって考案されたものが少なからずあるらしい。書き溜めているスコアブックやあまり熱心に読まない記録集などもじっくり眺めてみようかなあ。