3巻で600ページ以上の長編。そのうち面白くなるだろうと思い我慢して読み続けたが、ついにそのときは訪れなかった。
大代台高野球部に青居礼文という速球投手が入部するところから物語は始まる。ゴキゲンこと郷木弦三監督のユニークな指導、のびのびとした中にも自覚の芽生えたる部員たち。万年1回戦負けの「ダイダイダイ」はめきめき力をつけ、礼文が高3の夏には甲子園初出場。
最後まで乗れなかったには見え透いたありがちな筋書きだけが原因ではない。児童文学のカテゴリーに入る作品であるためか、表現、キャラクターの作り方が「おこちゃま」なのだ。
スタメンの表記があだ名。しかもオケラとかガッツだのカンだのと。郷木弦三だからゴキゲン。いつも不機嫌そうな女性部長はゴキゲンとセットだからフキゲン。こういう安直でリアリティのないネーミングに萎える。
著者はどの程度、野球の知識があるか分からないが、技術的な描写には首をかしげるようなものも多かった。子供向けだからわかりやすくしましたという範疇を超えている。
甘ったるい砂糖菓子を無理矢理口に突っ込まれたれたような読後感。
のべ約6時間を費やした俺の読書時間を返してくれ。