「おまえ、スカウトの仕事は、チームにいい選手を入れることだと思っちゃいねえか」
伝説のスカウト堂神恭介の言葉の意味を新米スカウトの久米純哉は身を持って知ることになる。“堂神マジック”と言えれる隠し球の指名の陰にあるのは犯罪すれすれのきわどい情報戦や他球団だけでなく選手、関係者をもだますような駆け引き。戸惑いながらも純哉は章立ての「1年目」、「2年目」、「3年目」、「4年目」とスカウトとして成長していく。
スポーツ新聞記者の島岡達之は、“堂神マジック”の犠牲者の一人。先走った誤報記事がもとで左遷。堂神のしっぽをつかもうと奔走する。
二人が行き当たる“堂神マジック”の裏、「Dライン」。「Dライン」とは何なのかと野球小説はミステリーへと舵を切っていく。
著者の本城 雅人氏は「サンケイスポーツ」の記者だっただけにエピソードやキャラクターの描き方にリアリティがある。この話はあれがモデルになってるな、とかこのスカウトは〇〇さんがモデルとか思い浮かべながら楽しんだ。