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2016年10月31日月曜日

不敵な笑みでラストボール

【No.102 2016/10/30 慶應義塾大 1-2 早稲田大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
  今日も神宮。    
 華の早慶戦は第2ラウンド。試合開始1時間半前の11時30分頃に神宮に向かって歩いていたら、遠くから「紺碧の空」が聞こえてきた。おやっと思ったら、すっかり忘れていたが隣の神宮第二球場で早稲田実業が試合していたのであった。 東京都の高校野球の秋季大会は準決勝。第1試合は早稲田実業が国士舘と、第2試合は地元の日野が日大三と対戦という魅力的な組み合わせ。少し観てから早慶戦に行こうかなと思っていたが、ネット裏最上段に連なる立ち見の観客を見てあきらめた。清宮人気恐るべし。    
 早実がコールド勝ちで決勝進出を決め、日野が日大三に挑む試合が始まって間もなく早慶戦が始まった。  前日に慶應のエース、 加藤拓 (4 慶應) に12三振被安打3に抑え込まれた早稲田打線。初回、キャプテン石井 (4 作新学院) の右中間最深部へのソロホームランで先制する。2回には竹内 (4 松阪) のタイムリーで追加点。ダメ押しておきたかった中盤、慶應の2番手菊地 (2 慶應志木) に3イニングで6つの三振を奪われて慶應を振りきれない。エースの加藤に似たオーバースローから角度をつけて投げてくる低めの落ちる球を早稲田のバッターは見極められず、バットが空を切った。    
 慶應に流れが行きかねない緊迫した試合展開も「まあ、僕に任せてください」とばかりに竹内が安定した投球。6回に振り逃げから招いたピンチに打率トップを走る山本瑛 (4 South Torr) のセンターオーバーのタイムリーツーベースで失点するもその後も崩れる感じがしない。この日の軸になる球スライダーがコーナーに決まり、勝負どころはストレート。逆球になっても空振りがとれていた。      最終回、2本のヒットでツーアウト一、三塁の完投への「最終関門」。キャッチャーの小藤 (1 日大三)、高橋監督がマウンドに立て続けに行くが竹内は落ち着いたもの。照屋 (3 沖縄尚学) を0-2とあった言う間に追い込んで、1球外す。小藤のサインにうなずいたときには不敵な笑顔(あとで映像で見ました)。ラストボールはズバッとインコースのストレート。最後の早慶戦の先発を被安打5奪三振11の完投勝利でしめくくった。

2016年10月28日金曜日

タクヤ涙

【No.99 2016/10/22 立教大 2-3 明治大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
【No.100 2016/10/22 東京大 0-8 法政大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
【No.101 2016/10/23 明治大 6-2 立教大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
今日も神宮。
「タクヤ、泣いてるよ。」
にわかには信じがたく、彼のトレードマークである白いバッティングレガースで“判別”してしまった。
めったに喜怒哀楽を表さない六大学屈指のヒットメーカーが仲間に支えられ涙していた。

立教と明治の1回戦。連勝すれば早慶戦の結果次第で優勝の可能性のある立教。
9回裏ツーアウト、田村 (4 報徳学園) の激走タイムリースリーベースで立教が1点差に迫る。
立教の1番・佐藤拓 (4 浦和学院)  カウント2-2からタイミングを外されながらもミートした打球はレフトへ。前に落ちるかという当たりは無情にもレフトのグローブへ。この瞬間、立教の優勝の可能性が消滅。
最後のバッターになってしまった情けなさ、申し訳なさ、4年間優勝出来なかった悔しさ。2日前の“悲劇への思いもこぼれてしまったのかも知れない。
明治が春秋連覇を決めた翌日の試合。9回ツーアウトから19打席ぶりのヒット(リーグ通算103本)で意地をみせた。
秋のリーグには4年生のさまざまな思いがつまっている。

2016年10月11日火曜日

佐藤拓也通算100安打

【No.95 2016/10/10 東京大 0-6 立教大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
【No.96 2016/10/10 慶應義塾大 3-1 法政大 神宮球場 2016東京六大学秋季リーグ戦】
今日も神宮。
立教の佐藤拓 (4 浦和学院) がリーグ通算100本安打を達成(史上32人目)。
第1打席にレフトオーバーのツーベースでリーチをかけて、第3打席。カウント0-1から三木 (4 県多摩) のアウトコースのボールを叩いた打球は風にものってフェンス直撃のツーベース。記録達成を知っているネット裏のファンからは拍手が起こっていた。去年の高山のリーグ新記録のときはバックスクリーンに電光掲示があった。100本安打でも掲示があるといいよなあ。これまでの慣例はともかくとして。
日刊スポーツの記事
http://www.nikkansports.com/baseball/news/1722526.html
入学前のオープン戦で10歳近い社会人の投手の球を軽々と打ち返す姿を見て、「大学でもけっこうやりそうだなあ。少なくともバッター転向(専念)は成功という結果は残すだろう」とは思っていたが、100本安打を打つような選手になるとは。
レギュラーに定着してからの2年時、3年時には連続して「母の日ホームラン」を打っている。今年は打てなかったなあ、と思っていたらお母様の誕生日にしっかりホームランをプレゼントしたそうだ。
試合も田村 (4 報徳学園) がスピードを抑えたコントロール重視の投球で完封。
第2試合は、出雲駅伝をワンセグでちらちら観ながらの観戦。慶應の加藤拓 (4 慶應)は少し荒れ気味のやんちゃな投球で6四死球で153球の完投。1回戦より3回戦、球数が多くなった終盤の方がいいというタフな投手だ。この日のベストボールは8回に法政の5番中山 (2 履正社)  を三振にとったストレート。アウトコースに低めから浮き上がってくるように見えたボールは150km/h。

2016年10月9日日曜日

東大の勝利に不思議なし

今日も神宮。東京六大学2016秋季リーグ戦は第5週。
第1試合。東大は延長10回4-3で立教に勝利。
先発の三木 (4 県多摩) は90キロ台の変化球で立教の打者のタイミングを狂わせた。うまくタイミングを合わせた田中和 (4 西南学院) 、高橋信 (4 長野日大) はホームランを打った。一方、この試合にリーグ100本安打まであと5本で臨んだヒットメーカー佐藤拓 (4 浦和学院) は第1打席に外から入ってくる97km/hのカーブに見逃し三振。これでタイミングを崩したのか4打数ノーヒット2三振。
東大は三木以降の有坂 (2 城北) 、山本俊 (4 西春) が好投。2人で6回から8回まで立教打線をノーヒットに抑えた。1点リードの9回はエース宮台 (3 湘南) が今季初登板。これで締めくくれば「エース復活」の最高の勝ち方だったのだろうが、宮台の調子は本来のものとは程遠い。最速150km/hのストレートは143km/h止まり。得意の右バッターのクロスファイヤーは決まらず、抜ける球が多い。ツーシームのキレも今一つ。3つの四球などで押し出しで同点に追いつかれてしまう。その中で2つのアウトを三振でとれたのはプラス材料か。打線は14安打。効率のいい攻めが出来ていればもっと楽に勝てたはず。7回の4安打で1点はないよなあ。六大学一のイケメン(と僕が勝手に思っている)下雅意 (4 甲陽学院) が5安打。立教のエース田村からストレート系をつまりながらもセンター前に運んで2安打。第3打席はスライダーをライト前に好打。第4打席は送りバントが内野安打になるラッキー。第5打席こそ空振り三振だったが、第6打席はルーキー田中誠 (1 大阪桐蔭) の初球を叩くレフト前ヒット。このつなぎが桐生 (4 西) の決勝タイムリーを呼び込んだ。
立教はエースの田村が打ち込まれて、抑えの澤田圭  (4 大阪桐蔭) が最終回に勝ち越しを許した。先発に懸念のある2回戦。ストレートで東大に勝ち点を献上しないかと心配。
第2試合。慶應の加藤拓 (4 慶應) の序盤は最近では一番よかった。ノーヒットノーランを達成した東大戦よりは全然いい出来。ストレートが高めに抜けることも少なく、低めに決まるストレートにはドラフト上位的な質も感じられた。5回ツーアウトまでノーヒットに抑えていたが、6回にルーキー郡司 (1 仙台育英) の送球ミスで失点すると17打数ノーヒットの続いていた中山 (2 履正社) にアウトハイのストレートを右中間に運ばれた。1点差を守りたい終盤はストレートのスピードも球威も落ちてきて、フォークなど変化球頼り。最後は柴田 (4 東邦) に127km/hのスライダーをレフトへライナーで打ちかえされサヨナラ負け。
東大は今季初勝利。ここまで勝ちに近い内容の試合もあったので1つくらい勝っているような感覚だった。東大が勝つことに不思議は感覚はないし、高揚感も小さめ。法政の6連敗からの脱出には安堵した。そんな今年の秋季リーグ戦。
第1試合の途中に強い雨で1時間半近い中断。第2試合は6回から点灯。家路についたのは18時過ぎ。

2016年10月3日月曜日

血の明法戦というには

【No.89 2016/10/1 法政大学 2-10 明治大  神宮球場 (2016東京六大学秋季リーグ戦)】
【No.90 2016/10/1 東京大 2-4 早稲田大学 神宮球場 (2016東京六大学秋季リーグ戦)】
【No.91 2016/10/2 早稲田大学 4-0 東京大 神宮球場 (2016東京六大学秋季リーグ戦)】
【No.92 2016/10/2 明治大 8-4 法政大学 神宮球場 (2016東京六大学秋季リーグ戦)】
かつては激しい優勝争いしていたなどから“血の明法戦”と呼ばれたカードも今季は寂しく終わった。
「先発投手が打ち込まれるもあとを任せられる投手がいない」という今季の“パターン”で法政があっさり連敗。東大に勝ち星どころか勝ち点を献上するのも心配される状況。
大学ジャパンの大西千 (2 阪南大) は打撃不振で1番から7番に降格。早稲田戦で7打数7安打の中山 (2 履正社) は15打数ノーヒットでついにスタメン落ち。明るい材料は主砲・金子(4 日大三)の復帰くらいか。
明治は先発の柳((4 横浜) 、星 (4 宇都宮工) の出来もよいとは言えず、それをフォローしなければならない水野、斎藤らのリリーフ陣も不調だが、打力で勝ちぬけた。2回戦では 川口 (4 國學院久我山)が2打席連続ホームラン。
早稲田は1回戦、代打・宮台の同点あるいは逆転かという三塁線の当たりを木田 (4 成章)がつかみとり4-2で勝利。2回戦は東大のルーキー山下大 (1 豊田西)  の立ち上がりの悪さと守備のまずさにも助けられて初回に3点を先制。竹内 (4 松阪) が四死球1の安定感のある投球で3安打完封。
 東大の山下大は2014年夏の愛知県大会で準決勝まで残った実績の持ち主。この日は初登板で固さがあったが、右バッターのインコースのストレートとか外に変化するシュート系のボールはなかなか。
土曜はウインドブレーカーを持ってこなかったことを後悔するような寒さ。一転、日曜日はうちわが恋しくなるような暑さだった。こうして秋が深まっていく。