来年の1月1日付けで小宮山悟氏が早稲田大学野球部監督に就任することが発表された。いつかはそうなるとは思っていたが、このタイミングか。早稲田の監督はこれまで僕にとっては先輩にあたる方たちだったが、小宮山氏は学年は一つ下で同い年だ。
2浪のハンデがありながら1年春から神宮のマウンドに立った。当時は、のちに“精密機械”と呼ばれたコントロールもアバウトでちょっとボールの速い程度のピッチャー。野球では無名の芝浦工大柏から入ってきたこのピッチャーがエースになって甲子園エリート法政や明治に勝つという姿は想像しがたかった。
2年冬、石井 連藏氏が二度目の監督就任。「馬のように」走り、400球、500球の投げ込みという古典的な猛練習で六大学を代表する投手になり、ロッテ・オリオンズにドラフト1位で指名されるまでに成長する。
当時の部のしきたりを不合理、練習でもテクニカルなサポートはなかったというが、この理不尽な経験から「歯のくいしばり方」を学んだ。「歯のくいしばり方」、苦しい局面を耐える力がプロの世界で生き残っていく礎(いしずえ)となった。
卓越した理論から“教授”というあだ名で呼ばれたりもしたが、大学の監督としては恩師のように厳しい練習で精神力を鍛える“鬼”になるのではないだろうか。現代の部員が「歯をくいしばれる」かいささか不安。自分の成功体験を押しつけるだけのおバカさんではないはず。その辺りは、メジャーでもプレーした経験、解説の仕事でつちかった言葉の力も発揮してほしい。
早慶戦の大森敬遠で涙を流した熱い気持ちでワセダを再び高みに導いてくれることを期待する。
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